そこは、千早にとって大切な場所。 そして、俺たちの始まりの場所。 色褪せた遊具、噴水、雨に濡れ黒ずんだ階段。 鬱蒼と生い茂る木々。 3年前と変わらない青いテントの群れ。 寂れた公園は人気がなく不気味でさえあった。 それが、 雨のせいなのかは、よく分からない。 真っすぐと、奥へ進む。 スプレーで落書きされた壁。 ――いつかのように、千早はそこにいた。 穴の開いた黒い傘をさしている。 傘に隠れて、その表情を窺うことは出来ない。 俺はホッとすると同時に、胸が締めつけられる。