「ごめん、幸田さん!」


 急に名前を呼ばれてビックリしたけど、その声の主が中尾先輩だったから更にビックリした。


「会長じゃん」「なんでここに」「ああ生徒会の」とかいう単語が、昼休みになったばかりの教室にぼそぼそと響いた。


 あたしは席を立って、俯き加減で教室の後ろの入口から顔を出している中尾先輩のところへ行った。


「ごめんね教室来て。先週のプリントね……ちょっと訂正あるからさ、今日の放課後に生徒会室来てくれる?」

 急いで来たらしく、息を切らしている。

「分かりました。行きます」

「そんな時間かからないから、ごめんね何度も」

「大丈夫です」

「じゃ、放課後」


 中尾先輩は用件が終わると、それはそれは爽やかに笑顔で帰っていった。