月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

「入道崎だよ」

 ああ、もう着くんだ。やっとと言おうか。2人で行きたいね。そう言ってからやっとだね。来るのにちょっと苦労したけど。

「灯台だ」

 冬海が指で示した先。白黒ボーダーの灯台。青空をバックに立っている。

「あれが灯台なんだ」

「ああ、懐かしいな」

 お互いひとり言みたいな言葉が口から出る。
 広い駐車場に入って行き、海側に向けて、お土産屋や食事する建物が軒を連ねている。三浦さんがタクシーを停め「行ってらっしゃい。このへんに居るから」と言った。あたし達はお礼を言い、車から降りた。灯台の方に向かって歩き出す。

「来たね」

 思わずそう言った。やっと来れたね、2人で。

 青い空、それとは違う種類の青色の海。草原。波の音、潮風。そこにそびえる白黒の灯台。どれも欠けてはだめで、それらが揃っていないと完全じゃない風景。

 言葉が出なかった。それほど、圧倒されていた。2人で、この風景に溶けてしまいそう。