月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 真っ直ぐ入道崎に行ってしまうのも勿体ないよと三浦さんが言う。

「水族館が良いと思うけど、寄ってたら入道崎に行けないし、帰りじゃ無理だしなぁ」

「大人になって免許取ったら、また来ようと思います」

「それがいいねぇ」

 せっかくだからなるべく海の方に出て、海沿いを走ってくれると言う。

「俺、中学まで秋田市に住んでて、小さい頃に男鹿半島に来たことあるんすよ」

「お兄ちゃん秋田生まれなのかい。そりゃまぁー懐かしいだろう」

「そうですねー」

 2人は秋田トークで盛り上がっている。三浦さんも、娘さんが嫁いだ先が仙台だそうで、仙台トークでも盛り上がった。車内でも楽しくできそうで、良かった。

 入道崎から秋田駅までは1時間30分ほどかかるそうなので、バス時間逆算して予定を立てることにした。

「入道崎に着いたら、少し案内すっけど、あとは2人で観光してらっしゃいね。駐車場には居るから」

 高校生カップルに気を使うお父さん、といった感じだ。ちょっと申し訳なかった。
 気付けば、海沿いの道路を走っている。日本海だ。

「あたし、日本海って初めて見る」

「太平洋と違うからね。冬は寒いよ~今の季節で良かったね」

 三浦さんがそう言う。