「おはよーアキ」

「あ、おはよ」

 梓が後ろから声をかけてきた。校門のところ。生徒達が吸い込まれていく校門で挨拶や笑い声が飛び交う。

「美由樹がさ、今日マック行こうって」

 朝からマックの話かよって思ったけど、ここんとこ誘いを断ってるからなぁ。この間は待たせた挙げ句に行かなかったし。

「分かった、いこ」

 げた箱に靴を入れ、教室へ向かう。

 うちの学校は1年が2階、2年が1階、3年が3階。だからあたしは2年になって1階にある図書室と近くなって嬉しかったのだ。

 目の前にある階段。そこはあたしは登らないけれど、目が行って、ふと横に視線をやる。そして足が止まった。

 そこで見つけたのは、生徒と生徒の間に見え隠れする冬海の姿。