月光レプリカ -不完全な、ふたつの-



 ***

 まだ中途半端で未熟な体で抱き合う。

 嬉しいような悲しいような、泣きたくて、爪を肌に食い込ませたくなる。


 白い天井、青いカーテン。小さいテーブルに、ケータイが乗っている。

 マンガ本が数冊入ってるカラーボックスと、テレビ。


 テーブルとテレビは、見たことがあるものだった。ここが、冬海の住むアパート。

 ベッドは無くて、マットレスの上で、お互いに鼓動を感じている。

 こんなに力強い体をしていたのかと思う。あたしはがっちりと抱かれ、身動きが取れないほど。



「……いいのか?」

 何を聞いているんだろう。小さい電球だけが点いている室内。浮かび上がる冬海の輪郭。あたしを見る目。

 月が出ている。月明かりを肌が反射する。

「なに?」

 あたしの頬に触れる手は、温かい。