***
まだ中途半端で未熟な体で抱き合う。
嬉しいような悲しいような、泣きたくて、爪を肌に食い込ませたくなる。
白い天井、青いカーテン。小さいテーブルに、ケータイが乗っている。
マンガ本が数冊入ってるカラーボックスと、テレビ。
テーブルとテレビは、見たことがあるものだった。ここが、冬海の住むアパート。
ベッドは無くて、マットレスの上で、お互いに鼓動を感じている。
こんなに力強い体をしていたのかと思う。あたしはがっちりと抱かれ、身動きが取れないほど。
「……いいのか?」
何を聞いているんだろう。小さい電球だけが点いている室内。浮かび上がる冬海の輪郭。あたしを見る目。
月が出ている。月明かりを肌が反射する。
「なに?」
あたしの頬に触れる手は、温かい。



