「俺、飲み物買ってくる。なんか食べる?」

 あたしのココアを見ながら冬海が言って、作業服のポケットから財布を取り出した。

「ううん、あたしはいいや」

「買ってくるから、外に行かねー?」

「あ、いいよ」

 注文カウンターへ向かって行く冬海の背中を見ながら、なんだかちょっと恥ずかしかった。

 しばらくすると、パンと飲み物を持って帰ってきた。

「昼飯のタイミング逃して、食ってないから。腹減った~」

「なんだ、じゃあこういうところじゃなくて、ご飯食べに行けば良かったね。ファミレスとか」

「これでいいや。アンパンあったし」

 そんなんで良いのか。あたしは、紙カップと荷物を持って、席を立つ。冬海と一緒に店を出た。


 アウトレットモールの、あまり人気の無いようなところにベンチを見つける。そこに2人で座った。

「寒い?」

「大丈夫。冬海は?」

「下に着てるから」

 寒さをお互いに気遣う。なんだかそれだけで胸が痛くて泣きそうになる。