どうしようこれ。放っとこうか、知らないし……。ケータイを閉じる。立ち上がって、伸びをする。

「……冬海くんじゃないの？」

　美由樹の言葉に、ハッとする。

　別れてから、冬海のケータイにメールも電話もしていないから、番号が変わったかどうかも分からない。もしかして……？　もしかして。

「かけてみる」

　万が一の可能性ってある。恐怖と期待と板挟みで、短時間で胃が痛くなってきた。単にお腹が空いてるだけかもしれないけど。

　ケータイを耳に当てる。コール音……コール音。出ないな。間違い電話なのかな。

「はい、もしもし」

　相手が出た。忘れるわけがない声なのに、一瞬誰だか分からなかった。

「アキラ、俺」

　意外過ぎる相手。

「友哉……？」

　知らない番号は、友哉だった。予想外だった。