「おーいお姫様たち、起きないかな? もうお昼ですけど。ご飯もあるよ」

「……」


 その声に目を開けると、自分がどこに居るのか分からない錯覚。

 どこだっけ? 何してるんだっけ。


「もう昼じゃん。トリコ見るの忘れた……」

 そう言ったのは梓だ。両手を頭の上に挙げて、寝たまま伸びをしている。

「もうそんな時間?」

 そうだった、ここ美由樹の部屋だ。

 時計を見ると、11:30ちょっと前だった。夜更かししたとはいえ、けっこう眠ったな。寝坊だ。


「お昼食べる?」

 部屋を覗いていたのは、美由樹のお母さんだった。

「食べるー」

「じゃあみんな降りて来てね」

 美由樹が返事をすると、お母さんはドアを閉めて降りて行った。

「お腹空いたし。お昼あるって」

「なんか、悪いんだけど……」

 頭をかく梓。あたしもちょっと悪いなって思ってる。