「まだ好きなのに、さ。居なくなるんだもん」

「泣いても良いのよ、晃ちゃん」

 美由樹の眠そうな優しい声は、今度ばかりは本当に眠いからそういう声。

「うん、泣く」

 眠いから、悲しいから、寂しいから。

「まだっていうか、ずっと好きだし。バカ、帰ってこい冬海……」

 夢と現実を行ったり来たりする意識は、どっちにも冬海が居て、あたしは涙が止まらない。

 ティッシュを探そうと手を伸ばした時には、梓と美由樹は2人とも目を閉じて寝息を立てていた。

 ぬいぐるみやピンクのカーテン、レースの小物。

 女の子らしい美由樹の部屋で、冬海は居ないけどひとりぼっちと感じないのは、この2人の友達がいるからだなって、あたしも鼻をかんで、枕を抱いて、目を閉じた。