月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

「も、もしもし!」

「……」


 ガサガサという音が聞こえた。雑音? 外なのかな。

「冬海? もしもし」

「園沢か?」

 小声で吉永先生が聞いてきたので、頷いた。「もしもし? さっきアパートに行ったんだよ」とあたしはなるべく明るく言う。



「……せ……」

「え? なに?」

「……センパ」

「冬海? どうしたの?」


 なんだか様子がおかしい。声が小さい。かすれててよく聞こえない。



「冬海? 具合悪いの?」

「俺、ヤバい……も」

「え?」



「……助けて」