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 学校の上履きがゆるくて、最近歩いてると脱げる。

「アキ、痩せたよね。」

 放課後、何をするでもなくただ梓と美由樹と一緒にくだらない話をしてた。美由樹が「痩せたよね」って言うと、梓もうなずく。

「そーかなー?」

 上履きがゆるいのは気付いている。体重だって減ってる。最近食欲も無いし。

「ダイエットってこともないでしょーよ。アキもとから太ってないんだもん」

「そんなことないけど」

 みんな部活へ行ったり帰ったりしたようで、教室はあたし達しか居ない。こんな風に教室にいるのは久しぶりかもしれない。

「冬海くんと、どうなったの?」

 美由樹が少し迷ったような仕草のあと、そう聞いてきた。

 どうなったの、そう聞かれても難しい。何があったのか、2人は知らないわけだから。

「……うん」

「言いたくない……?」

 机の上に少しのお菓子。美由樹が鞄に入れて持ってたものだ。没収されても知らないぞ。

「……」

「ケンカでもした? 言いたくないなら突っ込んで聞かないけど」

 梓が言う。手にはポッキーを持っている。

「ごめん、でも大丈夫だから」

 言えることじゃなかった。あたしだけの問題じゃないもの。何をどう説明していいのか分からない。