レジで会計を済ますと、コンビニを出る。
しばらく歩くと「ここ、このアパート」と2階建てのクリーム色のアパートに辿り着いた。
ここが、冬海とおばあちゃんが住むアパートか。
あまり新しいとは言えないけど、こういう所に住んでるんだというドキドキの方が強い。
不安になったりドキドキしたり疑ったり、忙しいというか簡単だというか。自分に呆れてしまう。
さっきまで、疑って、不安で仕方なかったくせに。自分に舌打ちをする。
「誰も居ないから」
1階の一番端っこのドアに鍵を差し込んで、冬海がドアを開けた。
「どうぞ。汚いから恥ずかしいんだけど」
「おじゃまします」
玄関を入ると横にキッチン。調味料や食器が並んでいた。木の古くて背の低い食器棚。小ぶりの冷蔵庫。
靴を直そうとしゃがむと、茶色のサンダルがあった。冬海の靴より小さいから、きっとおばあちゃんの。
「わーちょっとまって。テーブル汚いから」
ドタドタと、何やら置いたり投げたりしてる音が居している。
キッチンがあって、そこから隣り合わせに6畳くらいの部屋が2つ見える。2人で住んでるんだ、ここに。
「こっち、このへん適当に座って」
部屋の真ん中に黒いテーブルがあった。テレビのリモコンが置いてあり、湯呑みがひとつ。誰のだろう。おばあちゃん居ないから冬海が飲んだんだろうか。
自分でお茶入れて? なんかそれを想像したら微笑ましかった。
「なに、なんか笑ってねぇ?」
「え、別に……」



