「……」
「……俺んち、行こうか」
「え?」
冬海の、家?
「だって、おばあちゃん……」
「ああ……いま、ばあちゃんちょっと……居ないし」
居ない? お出かけだろうか。
「学校出てきちゃったし、俺んち行こうよ。ボロくて汚いけど」
「……うん」
繋いだ手を冬海はもにょもにょっとやって、嬉しそうな顔をした。
冬海、あなたは知らない。
疑ってるし、尾行までした。行動がちょっとおかしいなって思っていた。
言動や表情から探ろうとしてること。
でも無くしたくないって思うことは本当なの。そこだけは、ウソは無い。
あたしは、冬海が好きなんだ。それだけが、真実だったんだ。
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