月光レプリカ -不完全な、ふたつの-



「……」

「……俺んち、行こうか」

「え?」


 冬海の、家?

「だって、おばあちゃん……」

「ああ……いま、ばあちゃんちょっと……居ないし」

 居ない? お出かけだろうか。

「学校出てきちゃったし、俺んち行こうよ。ボロくて汚いけど」


「……うん」

 繋いだ手を冬海はもにょもにょっとやって、嬉しそうな顔をした。


 冬海、あなたは知らない。

 疑ってるし、尾行までした。行動がちょっとおかしいなって思っていた。

 言動や表情から探ろうとしてること。


 でも無くしたくないって思うことは本当なの。そこだけは、ウソは無い。

 あたしは、冬海が好きなんだ。それだけが、真実だったんだ。



 ***