月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 冬海が笑った。あたしも、からかわれたけど少し笑っていた。冬海の笑顔が思い浮かぶ。

「明日は学校これそう?」

 なんていうか、冬海自身は何も知らないんだけど、あたしが受け止められないでいるから、直接会うより、電話でこうやって話しているのがなんだかすごく安心する。この距離感。


「うん、行くよ」

 ねぇ冬海。

「そっか、良かった」

 あなたが隠していること、あたしは受け止める覚悟がまだできないよ。

「じゃあ、明日ね」

 電話の向こうのあなたは、あたしが泣いていることに気付いていただろうか。「泣く時は1人じゃないほうがいい」なんて言ったよね。

 本当は、冬海に会いたい。でも、会いたくない。複雑で涙が止まらないよ。

 それでも、1人じゃないほうがいいって、言うかな。