月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

「幸田さんもどうかしてるよ……」

 中尾先輩も、知ってる。

「……知ってて、つき合ってんの?」

 その言葉を跳ね返したくて、下唇を噛んだ。なんで、みんな。やめて。

「あいつは、大人に買われて……」

「やめて!」

 とっさに出た声だった。

 やめてよ、なんで勝手に冬海のことを。あたし達のことを。

 あたしはよく知らないのに、マミ先輩と中尾先輩は知ってて、だから自分で調べたくて冬海の後をつけたのに。

「……幸田さん」

「やめてください……お願い」

 マミ先輩から聞いたんだろう。そんなの容易に想像できる。なんなの、もう止めてほしい。

「知ってて……平気なわけない、ですから」

 そういう風にしか言えなかった。信じるとか信じないとか、何が本当なのかも分からないのに。

「だったら、それなら……俺は」