「あの……いま何時ぐらいなんですか?」

「ああ、もう放課後だよ」

 え、そんなに寝てたの!

「友達2人、見に来たよ。帰っていいよって言ったから」

「先輩は?」

「俺は、まぁ幸田さんが起きたら、あと帰ろうと思ってたけど」

 あたしが寝ているベッドの隣にもう一台ベッドがあって、そこで先輩は寝ていた様だった。

 カバーのかかった文庫本と英語の辞書が置いてあった。勉強をしてたのかもしれない。

「俺は別に具合悪いわけじゃないから。まぁ、サボり」

 バツが悪そうに頭に手をやって「最近あんまり眠れてなかったし」と言う。


「勉強大変ですよね……」

 受験勉強に追われているだろう。なんとなく中尾先輩の目が少し赤い気がする。


「まぁ勉強もあるけど、幸田さんのせい」