「……あ」

 真っ黒だった視界が開けてきて、白い天井。体を覆う、ふわりとした感覚。

「……目が覚めた?」

 
 横から、静かな声が聞こえてきた。誰だろう。っていうか、あたしは今……?


 まだ意識がはっきりとしないし、記憶が曖昧だ。昼休みを過ごし、体育があって、体育館で走ってて……。

「あれ?」

 体を少し起こす。「無理しないほうが良いよ」と体を支えてくれる人が居た。

「中尾先輩……?」

 あたしが居るのはベッドで、横に中尾先輩が居る。よく分からない状況で、軽くパニックを起こした。