こんな風にして再会するなんて思っていなかったけど。

 まだ忘れてないし、忘れられないし、思い出す。

 友哉の声だって、目だって手だって、笑顔だって温もりだって、なんだってまだ覚えてるよ。

 でも。冬海が大事なんだ。無くしたくない。

 時間っていうのは、心を荒らして、流して、慣らしていく。友哉の面影がまだ少し心を荒らすけど、冬海の心をあたしは追いかける。無くしたくないから。

 花が、一輪咲いたみたいなんだ。



 見覚えのある駅前の通りに差し掛かっていた。

 また、ちょっと強めに雨が降ってきている。薄暗くなる時間帯だった。車のライトが道路を流れる。

 そういえば、友哉もあたしも、傘を持っていなかった。

 友哉は、濡れずに帰れただろうか。そんな風に、ふと、思った。