月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 あたしは教室入口を彼に譲った。バン! と大きな音をたてて教室に入って行ってしまった。

 あたしも、冬海が居ないならここに居ても仕方がない。早く生徒会室に行こう。

 教室には人が居なかったけど、廊下には生徒がちらほら。ため息をつきながら廊下を歩く。

 冬海、また学校休んでるなんて。

 休むって言ってくれればいいのに。……あたしに黙って休んだって別にいいんだけど……。

 何をしてるか、どこに居るか、全て知りたいわけじゃないけど……。なんか、寂しいじゃない……。

 バイトしてお金持ってるから、夜遊びしてんじゃないんすかーなんて聞いて、イヤな気持ちにはなってる。

 一気に生徒会に出るのがイヤになってしまった。

 このまま帰りたい。めんどうくさい……。帰って寝たい。

 一応、足は生徒会室へ向かっているけど、具合が悪いとか言って帰ろうか。このまま黙って帰ろうか。というかもう帰る気でいっぱい。

 角を曲がれば生徒会室というところまで来た。周りには誰も居なかった。

 もうみんな集まっているのかもしれない。足が止まる。


 このまま帰ろう。今日は……イヤだ。