月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 思えば、冬海のクラスに行くのは初めて。冬海のクラスメイトに学校で会ったことがあるだけ。

 誰か居るかな。居たらなんて聞こう。

 色々考えている間に目的地到着。入口の窓から中を覗く。

 教室には誰も居ないようだった。冬海の姿ももちろん無い。どれが冬海の机かもわからないから探しようが無いんだけど。

 みんな帰ってしまったようだ。短いため息が出る。
 どうしよう。ここに居ても仕方がないし……。


「あの」

「わう!」

 後ろから声をかけられて、ヘンな声が出た。なんだよもー! ビックリするでしょうが!

「あ」

「あ」

 2人で「あ」の口のまま止まってしまう。

 柔道着を着て立っている男子生徒は、この間会った冬海のクラスメイトの1人だった。背のあまり高くない男子生徒。柔道部だったらしい。

「センパイ。おつかれっす!」

「あ、お、おつ」

「冬海っすか?」

 すっごい元気にあいさつされた。あたしはビビッて言葉が出ない。怖いとかそういう事じゃなくて元気さに圧倒されてしまって。

「と、冬海、うん。か、帰った? 知らない?」