梅雨の季節は、楽しいから晴れて欲しい時も、なんだか落ち込んでるから晴れて欲しい時も、あたし達の意思とは関係無く雨が降る。今日も朝からずっと雨。東北の梅雨は肌寒い。でもあと少しで熱い夏がやってくる。熱くてダルい日もあるけど、なんだかウキウキするし、プールもあるし、待ち遠しい。

「あーもうずっと雨だな。ウザイ」

「ほんと」

 雨だから、雨なのに、あたし達は外に居る。学校の外、花壇の近くの屋根がかかっている所。2人で並んで座って。

 中尾先輩と遭遇してしまってから、あたしと冬海はなんとなく図書室で会うのを避けるようになった。放課後、こうやって一緒に居たいからどこかで過ごす。それはどこでも良かった。図書室じゃなくても良くて、外でも良かった。冬になったらこうはいかないんだろうけど。

「光ちゃん、あれから大丈夫なのかなぁ」

 コンクリートの上に座っている冬海は、両手を上に挙げて背伸びをした。光のリストカット騒動から少し経っていたけど、あたしから話をしなかったのと、特に何も聞いていないから。光はいつものように学校に行き、部活をしてる様子だった。絆創膏は自分で変えているのかな。どれぐらい治ったんだろうか。

「んー何も言ってないけど。聞いてみようかな」

 切られたジャージは、部活中に壊れたとかなんとかごまかして、お母さんにお金を貰っていた。心苦しかっただろうと思う。

「またあんなことにならなきゃいいけどな」

 また、なんてあってはならないんだけど。