月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 コンコン。そのノック音で目を開けた。

「お姉ちゃん? 寝た?」

 光の声。どうしたんだろう。

「起きてるよ。どーした?」

 そう答えるとドアが静かに開く。光は白いパジャマ姿で、あたしを同じようにもう寝ようとしてたらしい。

「あたしも、もう寝ようと思って。光も早く寝な。疲れたでしょ」

「うん……」

 なんか言いにくそうにはしてるけど、言えないって雰囲気の光。モジモジしてるのが分かる。今日のことだろうけど。

「ご、ごめん、今日その……すごい迷惑かけて」

 ほら。

「お姉ちゃんの彼氏にも……」

 え? 誰? 彼氏って誰!

「なんだっけ、トウミ、とか」

 ああ冬海か! 彼氏か!

「あ、彼氏っていうか、彼氏……」

「あの人、お姉ちゃんの彼氏でしょ?」

 あたし、彼氏だって紹介したっけか……。

「明日、謝っておいてね、すいませんでしたって」

「あ、うん……大丈夫だと思うけど」

 光は、あたしの机の椅子に座って、静かにため息をついた。顔色は悪くない。