キッチンの引き出しをあちこち出して見つけたスーパーの買い物袋を冬海に渡し、玄関まで一緒に行く。光はリビングに居て、救急箱を片付けているのをさっき見た。
「ごめん、タオル……」
「いいって。片付けておくし」
冬海はタオルを丸めてビニール袋に入れた。白い半透明の袋、外からは血の赤は見えなかった。
「メールすっから」
「うん……」
本心を言えば、帰って欲しくはないけれど。少し不安なのと、冬海と一緒に居たいのと。でも今、そんなことは言えない。
あたしは自分の両手を握りしめた。そして、今さらながら、自分が起き抜けの部屋着のままでだらしない恰好だったことに気付く。もう遅いけど。恥ずかしすぎる。いやだもう。部屋着のすそをぐっと握った。
靴を履くために玄関に座る冬海の背中を触りたかったけど、我慢した。また、学校で会えるんだし。
「じゃあ、俺行くわ」
「うん。気を付けてね」
ガサガサとビニール袋の音と共にドアが空いて、冬海は外に出て行った。あたしは一緒に出ようとしたけど「光ちゃん見てなくちゃ」と言われて、見送るのを止めた。
「じゃあね」
「バイバイ」
手を振って、玄関のドアがガチャリと閉まった。しんと静まり返る。
「ごめん、タオル……」
「いいって。片付けておくし」
冬海はタオルを丸めてビニール袋に入れた。白い半透明の袋、外からは血の赤は見えなかった。
「メールすっから」
「うん……」
本心を言えば、帰って欲しくはないけれど。少し不安なのと、冬海と一緒に居たいのと。でも今、そんなことは言えない。
あたしは自分の両手を握りしめた。そして、今さらながら、自分が起き抜けの部屋着のままでだらしない恰好だったことに気付く。もう遅いけど。恥ずかしすぎる。いやだもう。部屋着のすそをぐっと握った。
靴を履くために玄関に座る冬海の背中を触りたかったけど、我慢した。また、学校で会えるんだし。
「じゃあ、俺行くわ」
「うん。気を付けてね」
ガサガサとビニール袋の音と共にドアが空いて、冬海は外に出て行った。あたしは一緒に出ようとしたけど「光ちゃん見てなくちゃ」と言われて、見送るのを止めた。
「じゃあね」
「バイバイ」
手を振って、玄関のドアがガチャリと閉まった。しんと静まり返る。



