月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 じゃあなーと言って吉永先生は行ってしまった。

 べ、別に悪いことしてるわけじゃないんだけどね……。吉永先生、知ってたのか。頼むぞって、何を頼むんだ。
 なんだか照れくさいしくすぐったいような気持ちで、人気のない廊下を教室へ向かって歩いた。鞄を取ってきて帰ろう。

 もう大半の生徒が帰ってしまっている校舎内。なんか結構長い時間、生徒会室に居たみたい。早く帰ろう。

 さっき吉永先生とも言っていたけど、今朝は冬海と一緒じゃなかった。昨夜、メールしたんだけど返事がこなくて、それを待ってるうちにケータイを持ったまま眠ってしまったのだ。うつ伏せで枕と頬の間にケータイを挟めて寝ていて、顔に跡が付いていた。

 ガッカリしすぎる朝。受信メールを見てみても、冬海からの返事は無かった。どうしたんだろう。ケータイ、学校にでも忘れたのかしら。