集中できなかった理由をずっと思い浮かべては顔面を熱くしていた。
頬杖はほっぺたが痛くなるから、左右交代で付く。なにやってるんだろうか。
「……はぁ」
そう、冬海だよ。
あたしは目の前に浮かぶ冬海の顔へ向かって、アンタのせいだと思った。
「なに、センパイ帰んないの?」
キレイな顔して。
「こんな時間まで何してんの?」
……え?
コンコン。窓を叩く指はすらっと長くて、それに似合ってキレイな顔の、冬海。それと、ガラスを通してくぐもって聞こえる声。
……って、本物じゃん! ボーッと見ていた窓の外、冬海が居た。気付かなかった自分にビックリするんですけどホント何してんのあたし。
「え、ああああの」
「ちょっと、ここ開けて」
またコンコン、と人差し指はガラスを叩く。



