***

 美由樹が突然、あたしと梓の腕を引っ張って言った。

「ちょっと、あたしビックリしたの!」

 あたしと梓は、頬をピンクにして興奮気味な美由樹を見る。

「な、なに」

「どしたの?」

 朝の学習時間、略してアサガクの時間が終わった途端、美由樹が駆け寄って来たのだ。いつもキャッキャしてるのにいつもより数倍キャッキャしている。

「あのさ、ナマハゲ吉永! すごーいの」

「なにが」

「凄いよね、ボサボサ具合とか」

「ちがーう」

 3人の掛け合いは自分でもちょっと漫才みたいと思ったけど。

「違うの違うの。イメチェン、凄いのよ格好良くなっちゃて」


 ミーハーな女子なんかは職員室に見に行ったりしていたが、あたしと梓は気が進まなくて座ったまま遠くを見ていた。

 男子までもが「なんか格好良くなったらしい」とか言ってる。