森下先生の指示で周囲の医師や看護師は『キャンセラー』を外した。


病院では警報が流れた。


私は身体が硬直していたため動くことが出来ない。


近くにいた看護師の助けがあり、ベンチから立ち上がることが出来た。


アイドは動かない。

様子を窺っていた。




「遠距離攻撃を行い、接近戦に持ち込め」




森下先生からの命令で医師達が様々な攻撃をアイドに放った。


砂煙が周囲で起きた。


接近戦部隊が一気に攻めに行った。


雄叫びを放ちながら攻めた。しばらくすると、医師達から悲鳴の声が聞こえた。


砂煙がやむと、攻めに行った医師達は地面に倒れていた。


アイドは動いていない。


私はその様子を見て、あることに気付いた。


私は森下先生に届く声で言った。




「彼の目を見ないように指示して…
何の能力かわからないけど幻覚を見せられる」




森下先生は頷き、私の言ったことを復唱した。


アイドは余裕の表情をしていた。




「ナナミさん、他に彼の情報はないか」


「幻覚以外は多才能力者しかわからない」


「多才能力者か…厄介な奴が来たものだ」




アイドは歩き始めた。