お母さんはドアを開け、部屋に入る。








「やあ、おはよう」








森下先生は笑顔で私達を。






「おはようございます」




「まあ、緊張せずにリラックスして」





「はい」






私は森下先生に会っても落ち着かなかった。










気を使ってくれたことには感謝した。






それでも、不安がよぎった。








「さて、診察結果を話すね」






お母さんは私の手を握りしまた。











何度も病院に回り、診断結果の度にお母さんは手を握り締めていた。








診断後には泣く。





私はお母さんを悲しませたくなかった。












「診断結果から話します。
ナナミさんの才能は『肉体強化』系の『活性』です。
『活性』箇所は頭…つまり脳です」









お母さんが握っている私の手に加わる力が強くなった。



















「率直に言わせてもらいます。
この能力者は余命が短いとされています」














お母さんは私の手を離して鞄からハンカチを出した。








私はお母さんの顔を見ると泣いていた。









いつものことだった。









でも、今日は泣くのが早かった。















「一般的には、この能力者は能力を制御できない無能者とされます。
無意識の中で能力を使用するため、能力者に負担がかかり、いずれは脳内部に異常が起こる。
ナナミさんの場合の能力者では、第一段階で手足のしびれ、次に内蔵器官の機能の低減。
最後は心臓機能停止とされます。
これらは脳からの異常信号がもたらすためです。
専門用語では『能力病』の一種とされます」