山本君が教室を出てから、しばらくして私達も教室を出た。


宿泊施設に置いた荷物を取りに行くためだ。


荷物をまとめて部屋を出ると、『W』の人がいた。


荷物を持ってもらい、私は施設から出た。


入口には夫がいた。アキトを抱えている。




「おかえり」




夫は優しく声を掛けた。




「ただいま」




私は笑顔で答えた。


辛くて、今にも泣き出したくなった。


でも、耐えなくてはならない。


今、ここで泣いたら、私はアカネ達と現実世界へ行けなくなると思えたからだ。


夫は『W』の人達に話し、荷物を受け取った。


その後、家族三人で帰った。