バスが停車したのだろう。


気が付くと、私は寝ていた。


目を開けると、どこか見なれた場所に付いていた。


そこは研修所の入り口だった。


一週間前に家族と別れた場所だった。




「お疲れ様です。降りてください」




係員が指示を出した。


皆、疲れているのだろう。


それに起きたばかりだから、頭も働いていないのだろう。


まるで操り人形のようにバスから降りた。


係員は私達が三日間過ごした教室まで案内をした。


教室には誰もいない。


私とアカネ、ヨシトさんはいつもの場所に座った。




「おつかれ」




アカネは眠たそうにしていたが、話しかけた。




「うん」




私は頷いた。


全員が席に付いてから、しばらくすると扉が開いた。



皆が注目する中、一人の男が入ってきた。




「お疲れ様です」





元気そうに話す男がそこにいた。



男は周囲を見渡した。




「これで訓練は終了です。
皆、大分お疲れのようだな」




誰も返事をしない。


教室は早く休みたい空気を漂わせている。


そんなことを無視して男は話し続けた。




「それでは、これより最後の授業に入る」




教室は重たい空気になった。


誰も声を出していないが「休ませろ」と皆から伝わってくる。




「今回も、この回の最高責任者である山本タクヤが行う。
異論はあるか」




誰も反論しない。




「よろしい。
それでは今後のことを話す。
ここにいる人達は俺と共に現実世界へ向かう。
集合場所はこの教室、今から90時間後。
必要なものは受付で渡されたカードのみだ。
他の物も持って来てもいいが、現実世界に送れないから意味ないぞ。
以上で報告終了」


「ちょっと待って」




アカネが山本君に声を掛けた。