「ここから先は私がやる。アカネは引っ込んでろ」


「いいえ…」




アカネは立ちあがった。


ポケットから薬を出し飲んだ。


そして両手にナイフを持ち、構えた。




「まだ戦える」




アイドは立ちあがり、アカネ達の方を見ていた。




「お父さん、気を付けて。あいつは超越者よ」




アカネのお父さんは笑みを浮かべた。


「超越者か。幸運だな」


「…お父さん」


「十年前の失態を晴らすことができる」




アカネとアカネのお父さんは攻めに行った。


激しい音が周囲に響いた。


アカネのお父さんの部下達も高速戦闘に加わり、五対一で戦っていた。


アイドが造った椅子が宙に浮き、地面に着くまでに粉々になった。


病院を囲んでいる塀も衝撃で崩れた。


塀の向こうには数えきれない程の『W』の人達がいた。


私が押した緊急信号は世界中の『W』の人達をその場所に集めるもの。


言い換えれば、全戦力が集結させるもの。


この場所は一種の戦場となった。


私は逃げ場所がわからず、逃げることができない。


近くの木の下に隠れた。


しばらくすると、音がやんだ。


私は木を盾に現場を見た。


そこには息切れしたアイドの姿とアカネ達が立っていた。