ジュウゴネン、マエ。 心の奥で警戒音が鳴るのを聞いた。ドクン、ドクンとその音は大きくなっていって。 彼は何かを知っているのだろうか。 知っているから、わざと私に声を掛けたのか。 「15年前にさ――…」 それ以上の言葉を彼は言うことができなかった。 パシッと物がぶつけられる音がしたときには、私の手からはさっき買った睡眠薬が消えていた。 反射的に、止めなければならないとそう思ったから。 「…っ!」 何か言ってやろうと思ったが、声が出なかった。ひとりで私は、一体何をしているんだろう。