「なっ!えっ……?」 びっくりしてうまく声が出せない私に、桃井稜佑は続けた。 「いや、なんか人影が見えたから誰かなぁ。 ……と思ったら、山田さん。 こんな所で何してんの?」 嘘、聞いてた事がバレてたなんて。 恥ずかしい……。 そして、私の名前を知っていたという驚きで、 まだうまく声が出せない私。 そんな私を見て、何が嬉しかったのか、 桃井稜佑はニコーっと笑うと、 私の両肩にそれぞれ手をのせ、顔を近づけた。 「……何?俺の事好きなの?」 ――はっ?