「ああ、まだ22歳なのにな。
まあ、落ち着くまでカイルの側にいてやろう。
リュウ、お前、大丈夫か。」
父は初めからそのつもりのようだ。
「学校の事。うん、先輩にだけは言っておかなければ。
心配したらいけないから。
それから学校にも話しておいてもらう。
もうすぐ夏休み、終わってしまうから。」
そう言ってリュウは携帯を取り出して日本の水嶋に連絡を入れた。
一緒に国体の練習は出来ない…
それだけがリュウは気になっていた。
学校は… どちらでも良いが、
水嶋に頼んだ方が全てに上手くいくような気持だった。
水嶋はリュウの世話を焼くのが好きなのだ。
翌日、麻酔の投与をやめたカイルは目覚め、
リュウと高倉信秀の姿を見て驚き、
嬉しそうな笑みを浮かべた。
そして、担当医から自分の状態を聞いたカイルは…
エルザが気にしていた通り、
いきなり氷結したように感情を押し込め…
魂のない人形のようになってしまった。
医師が必死に、
足を切らなければ命に関わる、とか、
今は性能の良い義足がある、とか言っているのだが、
全く聞いてはいないようだった。
確かに美形の若者にとって、
片足に義足、と言う事は耐えられないかも知れない。
リュウはいきなり様子が変わったカイルを見て、
かける言葉が見つからない。
聞くところによれば、
カイルはスポーツ万能だったようだ。
カイルは学校へ通う事はしなかったが、
スポーツも、それなりの実力者に教えてもらったようだ。

