「この店で買う気か?」 「そうだけど、なんで?」 学校を出てしばらく歩くと、一軒のスーパーが目にとまった。 こじんまりしていて少し古臭いけど、店先に置かれている特売品はどれもかなり安い。 材料を買って蓮の家でご飯を作ることに決まったのは、ほんの数分前のこと。 それなのに、「腹減った」と繰り返していた張本人は、店の前で露骨に顔を歪めて中に入ろうとしない。 まったくもう……。 お腹空いたって言ったくせに。