王子様の甘い誘惑【完】


「赤外線でいい?」


「う~んっと、ごめん。赤外線は使えないな」


「ん?何で?やり方教えようか?貸して?」


首を傾げて、片手をあたしの前に差し出すサヤ。


「違う違う!!」


あたしは顔の前でブンブンと手を振って否定した後、ポケットの中の携帯を取り出して目の前に掲げた。


……サヤ、違うんだよ。


やり方が分かんないんじゃなくて、そういう機能が付いてないの!!


あたしは心の中で思いっきり突っ込んだ。