唇を塞いで




お父さんの怒鳴り声なんて二年ぶり


「なんで?」


「お前が危ない目に合わないようにだよ」



「あたしは、お父さんの言いなりにはならないよ。あたしは京が全部だから」



お父さんはあたしを見て、
ため息をついた



「お前も…そんな歳になったんだな。負けたよ」

寂しそうに笑った顔はなんだかなつかしかった







「水着どーする?」

そんな声が飛び交うなか、あたしは登校した


「しーちゃんっ」


あたしを唯一、そう呼ぶのは
京と同じクラスの子