「どうしたの?何かあったの?」



慎が急いでるなんて珍しいなと思った。



だっていつも落ち着いているし、焦りを見せるような行動をしたことがないから。剣術に関しても。


「いえ…大変申し上げにくいのですが…」



「何?」



わたしはキョトンとしながら慎を見た。



「実は……水野様が…」



「空がどうかしたの?」



正直、空の名前が出てきたからびっくりしたけど…



ここまで聞いちゃったらもう引き下がれないしね。



「水野様が…稽古をすっぽかされまして…」



「空が稽古を!?」



「はい」



慎は気まずそうにあたしを見た。


嘘でしょ…!?
あんなに稽古に対して真面目な空が稽古をすっぽかすなんて!!



「それで……」



そこまで言って慎は言うのを躊躇っている様子だ。



「何!?お願い、教えて!!慎!!」



あたしは慎の肩を掴んだ。



嫌なことだったとしても…



あたしは空を信じたいから。