「――では、両者前へ」
稽古場でちゃんと殺陣をするのはすごく久しぶりな気がする。
私は久々の感覚に深呼吸をする。そして意識を集中させる。
「お願いします!!」
向い合わせでそう言い合うと剣を持ち、立ち上がる。
「――では、はじめっ!!」
素早く距離を取る。
そして―――
「はぁぁーっ!!」
「いやぁぁーっ!!」
カンカンカァン!!!!
激しく剣がぶつかり合う。
この子……
普通じゃない。
細いように見えるけど凄く鍛えた体してる……
毎日稽古を積まなければああいう体は作れないわ…
それに私がわざと隙を見せたってまったく動じてないし…
私は直感でそう感じた。
まさか空以外にこんな実力と体をしている男がいたなんて…
「――隙ありっ!!」
私がボーッとしているうちに慎が素早く向かって来た。
まずい!!!
カキィン!!!
危機一髪で慎の攻撃を交わした私
「……瀬川ヤバイな〜あの姫様の隙を全て見抜いてやがる!!」
「アイツは剣術に関しては手を抜くことは絶対にないからな」
剣士達の話し声が聞こえた。
そうなんだ……
やっぱり慎はそれほどの実力があるのね。
――でも私にだってプライドってモノがある。
そう簡単に手を引くわけにはいかないわ。
悪いわね慎。
「――はっ!!」
私はサッ!!としゃがみ込むと慎の腹に向けて剣を入れ込んだ。
―ドッ!!
「……素晴らしい」
主将が歓喜の声を上げた。

