「……海とケンカしちゃってね…」


「……うん。それで?」



空は真面目な表情で聞いてくれる


「私、母親いないじゃない?でも昨日…大名達との集まりで…ちょっと信じられない事聞いちゃって…」



「信じられない事?」



「えぇ……大名が“久喜菫'って人に私がそっくりだって言うのよ。しかも亡き母とまで…」



「……じゃあ…その菫さんて人が桜の亡くなったお母さんかもしれないってことか?」



「えぇ…父に聞いても教えてくれなくて…海に聞いたの。…海は立場上言えないと言ったわ。確かにその通りだし海にだって言えないことの1つや2つあることは分かってるわ。……でも…あの時の私はどうしても冷静になれなくて…海に当たってしまったの…」



「……そうなのか…」



私は着物の袖をギュッと握った。


「…海様にちゃんと話してみなよ」


空は優しい眼差しで言った。



「ん…そうよね…。ちゃんと話してみるわ」



「あぁ。それでこそ桜だ!!」



空は私の頭を優しく撫でた。



そんな空に私も思わず笑みが溢れた。



そんな話をしているうちに城の出口に来ていた。



「さて、成宮家までは歩いて5分もしないからすぐね!!」



「おう。んじゃ行くか」



私達は手を繋いで城を出た。