――チュンチュン……
次の日。
私は珍しく自然に目が覚めた。
「ん〜…よく寝た…」
ゆっくりと布団から体を起こした
ふと、枕元に置いてあった鏡を見た。
うわ……
すごいキスマークの数……
昨日空に付けられたやつだな。
まったく…こんな目立つとこに付けちゃって…
ま、いいか。
私は布団から立ち上がり、着替えた。
今日は全国各地から大名達が集まる日だ。
私が次期将軍として表に立つ、初めての仕事だ。
もちろん仕切り役は父だけど。
「――おはようございます姫様。お着物のお直しをさせて頂きたいのですがよろしいですか?」
使用人が外から声をかけてきた。
「いいわよー入って」
「失礼致します」
ガラッと扉が開いて、使用人が入ってくる。
「それではお直しさせて頂きます」
「ありがとね」
使用人は私の着ている着物を綺麗に直す。
「…姫様、今日は初めての表でのお仕事ですね」
使用人が着物を直しながら声だけを私に向ける。
「え、えぇ。緊張するけどね」
「頑張ってくださいね!!せっかくお綺麗にされたんですから堂々とですよ!!」
使用人は私に顔を向けるとニコッと微笑んだ。
「ありがとう」
私も一言返した。

