「ああ、春姫っ!!」


「待ってましたわ!」




翌朝。


教室に入るより前に、昇降口で華苗と繭が待ち伏せをしていた。


わかってはいたことだったから、あたしは動じなかった。


昨夜、2人に同じメールを送っていたから。




“2人とも
気付いてると思うけど……
色々、ごめんなさい。


全部話すから、
明日の朝、昇降口で
待ってて欲しい。”




胡桃坂さんに言われたこと、蕪城先生と話したこと。


どうして2人に黙っていたのかということ。


またあたしは、全てを包み隠さず2人に話した。


…巻き込みたくない。


これがただのエゴでしかなかったと、あたしは今さら気付いたから。




「………胡桃坂さんが、そんなことをっ…!!」




昨日と同じようにあの教室に入り、内側からカチャンと鍵を閉めた。


華苗は静かに呟き、繭は俯いたまま顔を上げない。


もしかして、泣いてる…?


どっと不安に駆られ、あたしは慌てて繭の腕を掴んだ。




『ま、繭っ!ごめん、ごめっ……』


「―――春姫が謝ることなど、ございません」




返って来たのは、泣いていたとは到底思えない凛とした声。


驚いて顔色を窺ったものの、泣いた形跡はどこにもなかった。





ホッと息を吐いたのも、束の間。