私達は声が聞こえたほうに視線をずらした。
誰?
「将。それ、俺の。勝手に触れるな」
私が目線をずらしたとき飛び込んできた光景、
それは腕をくんで将さんを睨みつけている聖。
私は思わず驚いて、あいた口がふさがらなかった。
な・・・ななななにそんな恥ずかしい台詞言っちゃってるの!?
ドラマじゃあるまいし!!
私が心の中で叫んでいると、将さんの声が耳に入ってきた。
「わりぃっ、ゴメン。
後は聖に任せるよ」
そう言って将さんはパッと私の指をはなした。
私はそんな将さんを思わず見上げた。
将さんは特に表情をかえていなかった。
しょ・・・将さん。
聖にこんなこと言われてムカつかないの!?
兄弟なのに、なんでこんなに平常心なの?
将さんはキッチンから出て行った。
でていったのを確認すると聖が口をひらいた。
「樹菜。こういうときは俺を呼べ。
すぐ駆けつけるから」
そう言って私の指を水であらいながら聖はそう言った。
「・・・ご・・・めんなさい」
咄嗟にそんな言葉が零れた。
私は怒ろうと思っていたのに・・・
聖の迫力に圧倒され、つい謝ってしまった。


