私は逃げるように観覧車から飛び降りた。
私は慶太から逃れようと必死に走る。
「樹菜!
お前待てよ!
クッソ・・・逃げ足だけははぇーな。」
そう言って追い掛けて来る。
私は後ろをふりむく。
30メートルの差はある。
夜になって減ったお客さんも、私達のおっかけっこを90%の人が見ていた。
そんなに見られていることが恥ずかしくて私は足をとめて振り返った。
慶太も私につられて足をとめた。
30メートルも先にいる慶太に大声で言う。
「バカ!
あんたなんて大嫌い!
なんで・・・
なんであんなことしようとすんのよ!
二度とあんたと喋りたくない!
二度とあんたと会いたくない!
バカ!」
私はそう言ってまた走り出した。
少し慶太が切なそうな顔をしたのがちらりと見えた。
慶太は追い掛けてこなかった。
そして私は他のお客さんにジッと見られながらも遊園地をあとにした。
「マジで・・・
好きになりかけてたんだけどな・・・」
慶太がぼそりと呟いた言葉は私の耳に届くことはなかった。


