『もしもし?
樹菜ちゃん?』
私の耳にはいってきた声。
聞き慣れている声。
嬉しい、まるで私を助けにきたみたい。
私は安堵したのかまた涙が零れ出す。
「将さ・・・」
私は嗚咽混じりに大好きな人の名前を呼んだ。
そうするとまた電車越しに声が聞こえた。
『樹菜ちゃん?
大丈夫?
なんかさ、樹菜ちゃんに呼ばれた気がしたんだ。
どうしたの?言ってごらん?』
将さんは私を宥めるように優しく、安心できる声で言った。
まるで背中をさすられているように感じた。
それにしても、すごい。
私の、私の声が将さんに届いたんだ。
こういうの、女の子は運命感じちゃう。
私は小さく微笑みながらしゃべりかけた。
「あのですね・・・実はっ「お前誰?」
言葉を発している途中、私の手からケータイがするりと抜けた。


