「おはよ」
慶太は笑った。
目元は見えないけど・・・。
口元はかろうじて笑っている。
「お・・・おはよ・・・」
な、なに自分吃ってるの?
あー、動揺してるって思われる・・・。
そうして私が俯いていたら慶太の声が耳にはいってきた。
「かわいいよ・・・」
なんか、囁くような甘い声。
驚いて顔をあげ、思わず自分の耳を疑った。
思わず胸がキュンとしてしまった。
自分はなんていう浮気性なんだ!
慶太なんか、こんな言葉はどんな女の子にも言っているのに!
あー、なんで自分はこう、一途になれないのかな・・・将さんに・・・。
そしてまだ私が慶太を見つめていると、慶太がさっきの甘い言葉を言ったときとは全く違う声質で口をひらいた。
「って感じっしょっ?
幸せなデートの始めは。
樹菜さぁ、演技でもいいから、
“ありがと・・・"
っとか甘い声で言えよ。」
・・・!
なんだコイツ!
少しでもキュンとした自分がバカだった!
さっきの胸のトキメキ、撤回!撤回!
しかも慶太なんかキモい!
“ありがと・・・"
の部分がなんか変にキモい!
私はそっぽをむいて歩きだした。
そうすると後ろから慶太が小走りで走ってきて私の隣に並ぶ。


