彼は一瞬“はぁ?"
っとでもいいたげな表情をした。
それでも私は負けずに、じっと彼の目を見る。
「意外と樹菜はバカなんだな。
よく考えてみ?
俺はモデルだぞ。
衣装あわせだよ」
彼はふんっと鼻で笑った。
ムカッ。
少しこめかみの血管が浮き出ていないか心配だ。
それに何故呼び捨てなんだろうか。
前も呼び捨てだったっけ?
記憶が曖昧だ。
「あんたに“バカ"なんて言われる筋合いないんだけど。」
私はいつもより声のトーンをひくくして言った。
それでも慶太はケロッとしていて、
「あっそーいえば、
メアドもらってたっけ?
なぁ、交換しよーぜ」
彼はニヤリと笑った。
その笑顔、気味が悪い。
なにかを企んでいるのだろうか。
慶太はまた一歩私に近付く。
「ヤダ」
私はたった二文字で否定をした。
第一、慶太が私にメールや電話をする理由がない。
それに軽々しくメアドやケー番を教えるような私ではない。
私は“絶対交換しないぞ"っという言葉を心にきめ、ケータイのはいっているバックを持つ手に力をいれた。


