「何ですか?」
私は慎さんに尋ねる。
慎さんは一瞬、下を向いたけど私を真剣に見つめた。
そして口をひらく。
「この家の家政婦になってくれてありがとう」
慎さんが微笑む。
私は一瞬ハテナマークが頭をよぎる。
「何言ってるんですか!?
私のほうがありがとうございますですよ!
こんな私を雇ってくれて」
私も微笑みかえす。
「そういうことじゃない。
樹菜ちゃんがこの家に来てなかったら・・・
聖はずっと・・・もしかしたら一生本気で人を好きになることはなかったかもしれない・・・」
慎さんに真剣な眼差し、真剣な口調で言われる。
私もじっと慎さんを見詰める。
「本当にありがとう。」
慎さんと総さんが微笑む。
私も微笑みかえす。
「大切なことを教えてくれてありがとうございました。
まだまだ私はこの家の家政婦として仕事をしていくので、
よろしくお願いします。
失礼します」
私は走ってその場を去った。


