今の音は、恋をしたときにするような、甘酸っぱい心臓の音ではない。
危険を察知したときのようになる音だ。
ヤバい。
案の定、見られてた。
誰に?
1番見られたくない、気まずい人。
聖だ。
私は見た。彼が眉間にしわをよせ、今にも舌打ちしそうな顔を。
私が振り向いた瞬間にその表情をやめて、表情を・・・微笑むように・・・つくり笑い・・・に変えたのを。
「おか・・・えり・・・」
私は小さく声をかけ、相手の返答を聞く前に、リビングにはいった。
走って。
まるで逃げるように。
リビングからキッチンにいくと、もう筑前煮は温まっていた。
私は炊飯器の保温をきって、ご飯をついで、
筑前煮とご飯をダイニングに持って行った。
それから味噌汁も温め、ダイニングに持って行った。
それから皆でご飯を食べたけど
私はなんとなく恐怖を感じていた。
嫌な予感というか、言葉ではない恐怖。
私はうつむきつつ、夕飯をチビチビと食べた。


